旧耐震基準の戸建て居住者の9割弱、2000年基準の半数以上が自宅の耐震に不安 家づくりのプロが解説!「地震で倒壊してしまう家の特徴」
<ニュース概要>
石川県によると、能登半島地震での住宅被害は4万9千棟を超えるとの報告があります。全国の戸建て住宅の耐震化率が約81%であり、約560万戸が「耐震性不十分」と推計されています。この課題に焦点を当て、平松建築株式会社が戸建て住宅居住者1,000人を対象に「大地震に対しての自宅の不安と対策」について調査を実施しました。
調査概要
調査期間:2024年2月2日
調査手法:インターネット調査
調査対象:戸建て住宅(持ち家)に居住中の25歳以上65歳未満の男女全国
サンプル数:1,000人
調査機関:Freeasy
※「平松建築株式会社 調べ」
調査結果の要約
- 76%の戸建て住宅が木造であり、旧耐震基準の家ほど不安度が高い傾向があります。
- 1981年以前に建てられた家の約59%が「とても不安」、1981年以降の約53%が「やや不安」、2000年以降の約36%が「あまり不安はない」と回答しました。
- しかし、対策はあまり行われておらず、特に古い家ほど対策が不足しています。
地震へのリスクと対策についての解説
職人社長・平松明展氏は、地震のリスクを正しく理解する必要があると指摘しています。耐震基準が1981年以前の家は特に倒壊の危険性が高く、2000年以降の基準でも不安定な場合があります。耐震性の指標として耐震等級が導入されていますが、耐震等級3でも十分ではない場合があります。(中破や小破の損傷被害で外から見たら大丈夫そうでも、次に地震が来たら危ないです。揺れが段々より大きくなっていくとともに、釘が抜けていったり、接合部が緩くなってきたりして、どんどん家の耐力が低下していきます。)平松氏は、耐震性の高い家づくりが重要であり、具体的な施策として耐震等級3や許容応力度計算、施工品質の確保を挙げています。
地震耐震補強
地震耐震補強の方法は、大きく2つあります。
1つ目は、建物を軽くすることです。能登半島地震でも、屋根が揺れて瓦が落ちる被害の家がありました。瓦が重たいと建物に負担がかかり、倒壊する原因の1つにもなるため、屋根の軽量化が必要です。きちんとした施工方法で、且つ構造計算をして瓦の重さに沿った家づくりをしていれば問題はありませんが、そうなっていない家が多いのが現状です。まずは、瓦などの重い屋根は、ガルバリウム鋼板の屋根に葺き替えをお勧めします。屋根が軽くなると、建物の重心が下がるため、地震耐震補強になります。
また、耐震補強をした後にリフォームなどで太陽光発電のソーラーパネルを後付けした場合は、元々の想定よりも屋根が重くなっているため、耐震性上で問題が出る可能性もあります。注意してください。
2つ目は、外壁や基礎を補強することです。1981年6月以降の住宅の基礎コンクリートの中には鉄筋を入れることが義務付けたれましたが、それ以前の住宅では任意だったため、鉄筋が入っていない「無筋コンクリート」の家が多くあります。鉄筋が入っていないことで基礎の強度は低く、地震などの力に対する耐久性も弱いです。このような無筋コンクリートの基礎の補強は、増し打ちという方法でできます。また、基礎の周囲に炭素繊維シートを巻きつける耐震補強方法もあります。その他にも、横揺れの耐震補強として筋交いをしっかり入れるまたは、真壁納めなどをすると、繰り返しの揺れにとても強くなります。但し、現場の状況や予算などで補強方法も変わってくるため、建物の精密診断をした上で、地元の工務店さんなどに相談しながら進めて行くと良いでしょう。
耐震補強費用は築年数や住宅の状態などによって異なり、決して安くはありません。すべての人ができるわけではありませんが、今後も安心して住むためにも、金銭面で余裕のある人やその家にまだ長く住む予定の人は、真剣に検討していただきたいと思います。
まとめ
地震が多い日本で安心して住める家を提供するためには、耐震等級3や許容応力度計算などの厳しい基準を守るだけでなく、施工品質の確保も欠かせません。また、既に建てられた家においても、耐震診断や補強などの対策を真剣に考える必要があります。
地震による被害を最小限に抑えるためには、国や自治体の支援制度を活用しながら、耐震性の向上に努めることが重要です。経済的な負担が大きいかもしれませんが、家族の安全を守るためにも積極的な対策が求められます。
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※画像参照:PR TIMES