<ニュース概要>
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)および公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)は、20歳〜65歳の全国の男女5,000名を対象とした「住まいに関する定点/意識調査」を実施し、その結果を「2025年 住宅居住白書」として公式サイトで公開しました(全宅連公式HP)。

不動産の買い時意識
調査では「いまは不動産の買い時だと思う」と回答した割合が20.8%と前年より1.6ポイント増加しました。しかし、買い控えの理由としては「価格が高騰しすぎて手が届かない」が49.3%で圧倒的多数を占め、不動産価格上昇が消費者心理を大きく冷やしていることが浮き彫りとなりました。

持ち家派と賃貸派
「持ち家派」と答えた人は63.0%(一戸建て46.1%、マンション16.9%)に達しており、依然として持ち家志向が根強い傾向が示されています。

防災・災害リスクへの意識
天災への備えについては「避難場所やハザードマップを意識するようになった」(33.5%)、「耐震・免震など住宅構造を考慮するようになった」(33.3%)と、防災意識の高さがうかがえます。

物件探しの情報ニーズ
物件情報収集では「物件写真」(54.3%)が最も重視される一方、「動画による紹介」(26.3%)が前年より増加し、動画コンテンツの需要拡大が確認されました。また「周辺物件の相場」(36.9%)への関心も高まり、比較検討志向が強まっています。

二地域居住について
二地域居住に関しては「維持が大変そう」(27.1%)や「限られた人しかできない」(26.4%)と課題意識が目立ちつつも、「自然豊かな生活ができる」(23.8%)など前向きなイメージも存在しています。

電子契約の利用経験
不動産取引の電子契約については利用経験が全体で15.0%にとどまる一方、20代(32.6%)、30代(21.0%)と若年層の利用率が高いことが特徴的です。

空き家問題と対策
「空き家がある、または将来発生する可能性がある」と答えた人は37.0%に上り、深刻さが際立っています。2024年に国が策定した「不動産業による空き家対策推進プログラム」については認知不足が課題である一方、「空き家を買い取ってほしい」(16.6%)というニーズが一定数確認されました。


省エネ制度の認知
2024年から始まった「建築物省エネ性能表示制度」については46.1%が「全く知らなかった」と回答し、認知度の低さが課題です。ただし「今後の住まい選びの参考にしたい」と考える人も21.5%存在しています。

不動産会社のサポート
不動産会社に求める点では「良い点だけでなく注意点も正直に教えてほしい」(45.7%)が最多で、透明性の高い対応が強く望まれていることがわかりました。

ハトマーク・宅建協会の認知度
「ハトマーク」を「不動産店の目印であると知っている」と答えた割合は30.1%で前年から上昇しました。一方、「見たことはあるが意味は知らない」も増加しており、認知拡大の一方で理解度の向上が課題といえます。

まとめ
今回の白書からは、不動産市場を取り巻く状況が「価格高騰による買い控え」「若年層のデジタル利用の進展」「災害リスクへの意識の定着」「空き家問題の顕在化」といった複数のテーマに集約されることが確認できました。不動産業界にとっては、価格の適正化とともに、デジタルサービスの拡充、防災や省エネなどの生活者ニーズへの対応が、今後ますます重要となると考えられます。



















