賃料改定トレンド調査分析~データに基づく賃上げ戦略示唆~|いえらぶ調べ
<ニュース概要>
株式会社いえらぶGROUPは、2016年から2025年までの10年間における「賃料改定トレンド調査分析」の結果を発表しました。
本調査は、同社に蓄積された賃貸借契約更新データ約46.5万件を集計・分析したものです。
同社は長年にわたり賃貸管理システムを提供しており、富士キメラ総研の調査において「賃貸管理システム市場占有率」1位を獲得した実績もあります。
調査の背景:コロナ禍からインフレ局面へ
近年、物価上昇や人件費・資材費の高騰を背景に、賃貸市場でも賃料見直しの動きが広がっています。
特に2023年度以降、コロナ禍で続いた“現状維持型”の市場環境から、“インフレ転嫁型”への転換が進み、市場構造は大きく変化しました。
今回の調査は、こうした環境変化を客観的に把握する目的で実施されたものです。
分析結果のポイント
① 全体トレンド:コロナ禍の停滞と急激なリバウンド

● 2015〜2019年:緩やかな上昇
アベノミクス後半の景気回復を背景に、賃料増額の動きは緩やかに拡大していました。
● 2020〜2022年:コロナ禍による停滞
COVID-19の影響で経済活動が停滞し、退去防止や生活防衛意識への配慮から賃上げ交渉は控えられました。
家賃減額対応も行われ、市場全体としては「守り」の姿勢が強まった時期でした。
● 2023年以降:急速なインフレ転嫁
経済活動の再開と世界的なインフレを受け、管理コストの上昇が顕在化。
その結果、賃料増額の発生率は急上昇し、2025年度には12.2%と過去最高を記録したといいます。
② 首都圏一極集中:地方との温度差

エリア別分析では、賃上げの勢いに大きな地域差が見られました。
- 東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県といった首都圏では増額が活発
- 増額事例の約6割が東京都
- 約9割が首都圏に集中
一方で、大阪や福岡などの主要都市圏では、これまで平均以下の動きが続いていたものの、直近では波及の兆しも見え始めているとのことです。
③ 戦略の二極化:東京と地方で異なる「勝ちパターン」

賃上げの「頻度」と「1件あたりの増額率」を分析した結果、エリアごとに戦略の違いが明確になりました。
● 東京:広く薄く
多くの契約者に対して、数千円〜5%程度のマイルドな値上げを実施。
市場全体に「周囲も上がっている」という空気が醸成されており、成功率は高いとされています。
● 地方:狭く深く
相場より明らかに安い物件のみを選定し、10%以上の是正交渉を実施。
一律値上げは退去リスクを伴うため、慎重な選定型の戦略が主流となっています。
④ 物件種別別の傾向

- 事業用物件
- マンション
これらが賃料上昇を牽引しています。
一方で、駐車場は停滞傾向にあります。
住居に付帯する駐車場は優先度が低く、据え置きが選択されやすい傾向があるとのことです。
また、月額単価が低いため数千円の値上げでも上昇率が大きく見え、契約者の心理的抵抗が強まることから、解約リスクを避ける判断がなされやすいと推測されています。
まとめ
今回の調査からは、日本の賃貸市場が明確に「インフレ対応型」へと転換していることが読み取れます。
特に注目すべきは、単なる賃上げ増加ではなく、「エリア別・物件別に戦略が高度化している」点です。
データに基づく価格改定が進んでいることは、不動産DXの進展を象徴しているとも言えるでしょう。
一方で、地方では依然として慎重姿勢が続いており、賃料改定が全国一律に広がるわけではないことも明らかになりました。
今後は、人口動態や供給バランス、地域経済の回復度合いが、賃料改定の広がりを左右すると考えられます。
オーナー・管理会社にとっては「どの物件を、どの程度、どのタイミングで上げるか」という精緻な判断が求められる局面に入ったと言えるでしょう。
2026年は、首都圏の本格的な賃料改定定着と、地方への波及がどこまで進むのかが焦点になりそうです。
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いえらぶGROUP 常務取締役 庭山健一 氏コメント今回の調査から、賃貸市場における賃料改定は一時的な動きではなく、2023年度を境とした構造的な転換であることが明らかになりました。首都圏と地方では増額のアプローチに顕著な差が見られ、従来の一律的な施策では通用しにくい局面に入っています。
今後は生成AIも取り入れ、エリア特性や物件種別ごとのデータ分析をもとに、より戦略的な賃料設定を支援するサービスを展開し、不動産会社の収益最大化と持続的な成長に貢献してまいります。
■調査データ
賃料改定データ:期間2016年~2025年 46.5万件抽出(賃貸借契約更新時のみ)
PR TIMES
※画像参照:PR TIMES




















