都心の価格高騰で神奈川・埼玉・千葉にも「局地バブル」発生、新築マンション価格の二極化が進む【LIFULL HOME’S新築マンション価格調査 2026】
<ニュース概要>
株式会社LIFULLが運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」は、2026年1月~5月に掲載された神奈川県、埼玉県、千葉県の新築マンションデータをもとに、価格動向を発表しました。
東京23区内の新築マンション価格が一般実需層にとって手の届きにくい水準へ達するなか、需要の受け皿となっている周辺3県について、エリアごとの価格動向と特徴的なトレンドを解説しています。
※LIFULL HOME’S「東京23区の新築マンションの平均価格(2026年)」
https://lifull.com/news/48994/
本調査のポイント
- 首都圏の平均価格は8,542万円となりました。専有面積の縮小が進む中、物件価格だけでなく「平米単価×広さ」を見極めることが重要になっています。
- 周辺3県では、局地的な「億ションエリア」が増加しています。千葉県船橋市・柏市、埼玉県浦和区などが牽引し、同じ県内でも価格格差が鮮明になっています。
- 平均価格7,500万円前後の神奈川県(専有面積69.67㎡)に対し、千葉県(同75.41㎡)は広さで優位性があります。コストパフォーマンスを重視する層にとって、有力な受け皿になっていることがうかがえます。

マンション価格は、エリアや立地だけでなく、同じ建物でも部屋ごとに価格や面積が異なるケースが多くあります。そのため、今回の調査では平均価格の1㎡あたり平米単価を算出し、比較しています。
【神奈川県】小田原市・青葉区が急騰し、神奈川県の1億円超えは4エリア

2026年1月~5月に掲載された神奈川県の新築マンションは32エリアあり、平均平米単価は109.6万円、前期比104.2%と緩やかな上昇となりました。
一方で、平均価格が最も高いエリアは1億5,324万円の小田原市で、2位は横浜市青葉区の1億2,014万円となりました。平米単価の上昇率は、どちらも前期比190%台と急騰しています。

神奈川県において、2026年の平均平米単価上位20エリア、かつ2025年に掲載があるエリアについて2023年からの推移を見ると、平米単価175万円超の「高位価格帯」は横浜市中区・西区が維持しています。
一方で、小田原市(対前期比196.1%)と横浜市青葉区(同193.7%)が急激に右肩上がりとなっています。
川崎市の中原区、幸区、川崎区、多摩区、高津区などは、100万円〜150万円の「中堅〜上位価格帯」の狭いレンジに密集し、なだらかな上昇傾向を示しています。
【埼玉県】浦和区・大宮区の「二大巨頭」が牽引する県内の局地的高騰

2026年1月~5月に掲載された埼玉県の新築マンションは26エリアあり、平均平米単価は88.6万円、前期比110.4%となりました。
埼玉県内で最も平均価格が高いエリアは、さいたま市浦和区の9,494万円で、平米単価は145.5万円です。
さいたま市南区(南浦和駅や武蔵浦和駅周辺など)は、平米単価の対前期比が144.3%となり、大宮区(126.8%)や浦和区(117.1%)を抑えて、さいたま市内でもトップの伸び率となりました。
このほか、東武東上線や東京メトロ有楽町線・副都心線が直通する人気エリアも急伸しています。
朝霞市の平米単価の対前期比は127.8%(平均価格5,164万円)、和光市は111.2%(平均価格7,139万円)となり、強い伸びが見られました。
また、平均専有面積では、越谷市(58.85㎡)や戸田市(59.88㎡)は、ファミリー向けのマンション市場でありながら専有面積が60㎡を割り込んでいます。
狭小化が進むエリアがある一方で、久喜市(77.54㎡)、鴻巣市(75.78㎡)、飯能市(75.31㎡)などは専有面積が75㎡を超えており、広さを確保できるエリアも存在しています。

埼玉県において、2026年の平均平米単価上位20エリア、かつ2025年に掲載があるエリアについて2023年からの推移を見ると、他エリアを引き離して上方に位置する「さいたま市中心部」と「その他エリア」の乖離が見られます。
さいたま市浦和区(平米単価145.5万円)と大宮区(同135.5万円)が、県内の価格を牽引しています。
一方で、都心隣接の川口市や戸田市などは平米単価100万円超で堅調に推移しています。「標準価格帯(80万円未満)」では、多くのエリアが横ばい傾向にあります。
【千葉県】専有面積75㎡超のゆとり。船橋市・柏市が急騰し「億ションエリア」に

2026年1月~5月に掲載された千葉県の新築マンションは14エリアあり、平均平米単価は85.2万円(期比115.1%)と前期より上昇しました。
平均価格は7,581万円と神奈川県と同水準ですが、平均専有面積が75.41㎡と周辺3県で最も広い点が特徴です。平米単価を抑えやすく、コストパフォーマンス面で優位性があります。
また、船橋市が平均平米単価144.5万円(対前期比153.7%)、柏市が126.1万円(対前期比156.1%)となり、この2市が千葉県内の上昇率上位となりました。
どちらも平均価格が1億円を超え、「億ションエリア」となっています。
一方で、松戸市(平均価格5,300万円、平米単価75.3万円)、八千代市(平均価格5,654万円、平米単価74.1万円)、印西市(平均価格5,295万円、平米単価69.2万円)などは、いずれも平米単価が70万円前後です。
対前期比も100%〜103%台と安定しており、平均専有面積も70㎡以上を確保しています。

千葉県で2025年に掲載があり、かつ2026年の平均平米単価について2023年からの推移を見ると、2025年に中堅価格帯に位置していた船橋市(144.5万円)は「高位価格帯」のトップへ、柏市(126.1万円)は「準高位価格帯」へ一気に上昇しました。
東京に隣接する市川市や浦安市が横ばい・微増傾向にある中、千葉県内の主要拠点である船橋市と柏市の価格上昇が目立っています。
供給物件によって平均価格が左右されやすい新築市場において、市川市は都心隣接、交通利便性、実需層のニーズの強さを背景に、安定した価格推移を示す成熟したエリアと見られます。
船橋市や柏市が急上昇する一方で、松戸市(75.3万円)、八千代市(74.1万円)、印西市(69.2万円)の安定感は、一般実需層にとって注目しやすい材料です。
上位エリアとの価格差が広がるほど、「予算を抑えて堅実に広い住まいを選ぶ」という選択肢として、この3エリアの存在感が高まっているといえます。
まとめ
首都圏の新築マンション市場では、東京23区の価格上昇を背景に、神奈川県、埼玉県、千葉県といった周辺3県の存在感がより高まっています。
今回の調査では、同じ周辺3県でも、駅力や都市機能、都心アクセス、供給される物件の特徴によって、価格の伸び方に大きな違いが出ていることが分かります。特に船橋市や柏市、さいたま市浦和区・大宮区のように、県内の中核エリアでは局地的な高騰が進んでいます。
一方で、価格だけを見るのではなく、専有面積や平米単価をあわせて見ることも大切です。千葉県のように、平均価格は神奈川県と近い水準でも、より広い住戸を確保しやすいエリアもあります。
今後の住まい選びでは、「どの県が安いか」ではなく、「どのエリアで、どれくらいの広さを、どの価格で取得できるか」という視点がより重要になりそうです。価格高騰が続く中で、周辺3県は単なる東京の代替ではなく、それぞれの暮らし方や予算に合わせて選ばれる住まいの選択肢として、さらに注目されていくと感じます。
LIFULL HOME’S総研 副所長/チーフアナリスト中山登志朗(なかやま としあき) 氏考察コメント
都心周辺の新築マンション価格高騰&供給絞り込みにより周辺エリアにも価格上昇波及
都心および周辺エリアの新築マンション価格高騰が止まりません。
これは円安による資材価格の高止まり、人件費の高騰、地価の上昇、住宅性能適合義務化など、いくつものコストプッシュ要因が重なって発生していますが、この状況に加えて“ナフサショック”が発生したことにより、新築マンションの供給自体も急減しています。
このような価格高騰に際して、ユーザーは都心方面への交通アクセスの良好なエリアでの新築および中古マンションの購入を検討し始めており、首都圏での実需層の居住ニーズは、ほぼ選択の余地なく周辺3県(および都下)へと移行しています。
今回の価格検証結果の通り、周辺3県でも横浜市および川崎市中心部、さいたま市浦和区および大宮区、千葉県市川市、船橋市、柏市などで高額物件の分譲実績があり、概ね8~9,000万円台、もしくは1億円を超える平均価格に達しているエリアも登場しています。これは都心周辺での購入を見送ったユーザーが、予算を維持したまま周辺3県で物件を探すと、地域一番物件と目されるステータス性の高い物件および都心周辺よりも1.5~2倍程度専有面積が広い住戸の購入が可能になるため、都心とほぼ同水準の価格帯であっても“割安感”が醸成されることに起因します。このような高額物件の波及は船橋市や柏市だけでなく、小田原市、相模原市緑区、千葉市美浜区などでも認められ、宛ら“首都圏版ローカル億ション”の様相を呈しています。
ただし、価格が上昇していると言っても、神奈川県の平均価格は7,633万円、埼玉県5,972万円、千葉県7,581万円と、同時期の東京23区の平均価格16,884万円の半額以下で、自治体単位では4~5,000万円台のエリアも少なくありませんから、価格と利便性のバランスを考慮しつつ、購入を検討する余地は十分あると考えられます。
このようなマンション価格の乖離を考慮すれば、東京都の35歳以上のファミリー層が14歳以下の子供を連れて周辺3県に数多く転出している状況は、新築マンションを含め住宅価格(および賃料)の高騰によるものとほぼ断定でき、郊外化のトレンドは今後も継続する可能性があります。
調査概要
・集計対象:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県内で分譲された新築マンションのうち、LIFULL HOME’Sに掲載された物件を行政区&自治体単位で集計
・集計期間:2025年1~5月および2026年1月~5月を比較し対前期比を算出
・集計条件:専有面積30㎡未満の住戸および平均専有面積が30㎡未満の分譲期は除外
・集計方法:各マンションにつき、分譲期ごとに最高価格/面積と最低価格/面積を抽出し平均値を算出
PR TIMES
※画像参照:PR TIMES




















