物件価格の高騰が止まらない首都圏!買取再販の掲載割合は4割超え、“第三極=買取再販物件”へのニーズが顕在化!LIFULL HOME’S が買取再販トレンドを調査
<ニュース概要>
株式会社LIFULL(ライフル)が提供する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」は、築31年以上の中古マンションにおける「買取再販物件」(中古物件をリノベーションやリフォームして販売すること)の掲載推移を2019年1月から2025年4月まで調査し、そのトレンドを分析しました。
高騰するマンション価格、注目される“リノベ済み”の選択肢
近年、首都圏では新築・中古を問わずマンション価格が上昇を続けており、住宅購入のハードルは年々高くなっています。こうした背景の中で、価格を抑えつつも質の高い住まいを求める層から注目を集めているのが「買取再販物件」です。
買取再販物件とは、不動産会社が既存の中古住宅を買い取り、リフォームやリノベーションを施して再販売する物件を指します。内装や設備が新しく、品質が担保されている点が特徴で、新築よりも価格が抑えられることから実用性の高い選択肢として関心が高まっています。
首都圏では4割超が買取再販物件、神奈川県では5割超に
LIFULL HOME’Sによると、築31年以上の中古マンションにおける買取再販物件の掲載割合は、2019年1月の段階で全国では25.0%、首都圏では28.1%、東京都では26.1%でした。これが2025年4月には、首都圏で43.8%、東京都で40.0%と大幅に上昇しています。一方、全国平均は29.9%にとどまり、首都圏との間に10ポイント以上の差が開いている状況です。

さらに、都内よりも神奈川県(54.0%)や埼玉県(43.8%)の方が高い掲載割合を示しており、千葉県でも13.1%から34.7%へと20ポイント以上の上昇が見られました。首都圏全体で、築古物件の再活用が活発化している様子がうかがえます。

東京23区では新築との価格差が3,700万円以上

価格面でも買取再販物件の優位性が明らかになっています。東京23区における築31年以上の買取再販物件の平均価格は5,231万円で、新築マンションの平均価格9,000万円(不動産経済研究所調べ)との差は実に約3,700万円にのぼります。
中古マンション全体の平均価格8,533万円と比べても割安で、かつリフォーム済みで即入居が可能、また、不動産会社から直接購入する場合は仲介手数料が不要といったメリットもあります。ただメリットだけでなく安心して購入するためには検討中の物件の状態を確認できるホームインスペクション(住宅診断)を受けることも大切です。
一方で、同じ築年数の一般仲介物件は平均価格4,735万円とより安価ですが、購入後にリフォームを実施する場合は追加で300〜1,000万円ほどかかり※、工期も長期化する可能性がある点には注意が必要です。
※国土交通省「リフォームの内容と価格について」
まとめ「築古=選ばない時代」から「築古+リノベ=現実的な選択肢」へ
不動産価格の高騰により、新築にこだわらない柔軟な住まい探しが求められている今、買取再販物件は現実的でバランスの取れた選択肢として注目されています。築古物件というとネガティブなイメージを抱きがちですが、適切にリノベーションされた物件であれば、快適な生活環境を新築よりも手ごろな価格で手に入れることができます。
住まい選びにおいては、物件の状態や費用、入居までのスケジュールなど、さまざまな要素を総合的に判断する必要があります。今後、ホームインスペクションの活用といった購入者の“安心材料”がさらに整備されていけば、「買取再販物件」がより広く一般に受け入れられる時代が訪れるかもしれません。
LIFULL HOME’S総研 副所長/チーフアナリスト中山登志朗(なかやま としあき)氏コメント
物件価格が高騰しているエリアほど“第三極=買取再販物件”へのニーズが顕在化
約20年前、中古流通市場における買取再販物件と一般仲介物件のシェアは凡そ1:9で、圧倒的に一般仲介物件が多くを占めていましたが、新築物件とも中古物件とも異なる“第三極”としての買取再販物件は、認知が進むに連れて徐々にシェアを拡大してきました。
買取再販事業が拡大し始めたのは新築物件の供給が急減した2008年のリーマン・ショック以降です。当初は、中古物件の買取資金とリフォーム&リノベーション=バリューアップコストが必要なことから、安価に買い取って水回りや内装を交換するだけの簡易なリフォームで再販売するだけのニッチなビジネスと目されていました。
しかし、単にリフォームするだけではなく、徐々に間取りの大幅な変更や特徴的な仕様、最新設備の導入や断熱&省エネ性能の向上など、機能性および居住快適性、デザイン性などを大幅に高めてから再販売するよう急速に進化・深化したことで、新築住宅の設備・仕様と遜色ないのに新築より安い“きれいな中古住宅”であることが評価され、専業社や専門部署が次々誕生するに至り、買取再販事業は住宅産業として確立したといえます。
また、マンション1棟を丸ごとリノベーションし、共用部の機能性・安全性なども向上させて再販売するビジネスは、老朽化する既存マンションが今後急増していく社会において、建物を取り壊すことなく(脱炭素社会の実現にも貢献)次世代に価値をつなぐ手法として大いに期待されています。
足元の不動産市況は、資材価格および人件費の高騰、地価の安定的な上昇によって、都市圏を中心に新築住宅の価格が大きく上振れる状況にありますから、中古住宅の買取再販事業は、この20年あまりで市街地の中心部や近郊でも機能性に優れた住宅を比較的安価に購入できる販売手法として、新たな市場を確立し売上規模も拡大し続けており、今後も新築住宅の価格が上昇&高止まりする状況が続く公算が極めて高い状況下では、買取再販物件のシェアはさらに拡大するものと考えられます。
ただし、2025年4月からの“省エネ性能適合義務化”開始により、買取再販物件についても屋根や外壁・窓などをリノベーションする場合は義務化の対象となるため、バリューアップのためのコストが増加し、販売価格が上昇することには留意する必要があります。
調査概要
PR TIMES
- 対象物件:LIFULL HOME’Sで掲載されていた中古マンション
- 買取再販物件:築31年以上で取引形態「売主」
- 掲載期間:2019年1月~2025年4月
※画像参照:PR TIMES




















