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物件価格高騰で注目を集める「定期借地権付きマンション」の最新動向をLIFULL HOME’Sが調査

物件価格高騰で注目を集める「定期借地権付きマンション」の最新動向をLIFULL HOME’Sが調査、定借=安いは間違い?所有マンションよりも平均価格が高いエリアも

株式会社LIFULLが運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」は、近年価格高騰が続くマンション市場において注目を集める「定期借地権付きマンション(以下、定借マンション)」の最新動向を調査しました。
調査では、定借マンションの流通状況や価格差、地域ごとの特徴などが明らかになっています。


■ 定借マンションとは?

定借マンションは、土地の所有権を購入する一般的な分譲マンションとは異なり、「期限付きで土地を借り、その上の建物の所有権を購入する」仕組みです。
土地代が不要な分、販売価格が安価に設定されるケースが多く、住宅価格が上昇する昨今、「手の届くマイホーム」として再注目されています。
一方で、契約期間が終了すると土地を返還する必要があり、さらに地代といった追加費用も発生するため、所有権マンションとは異なるコスト構造を持つ点が特徴です。


■ 東京・千葉で定借マンションが増加傾向に

LIFULL HOME’Sのデータによると、2020年1月〜2025年9月の間に掲載された新築・中古マンションのうち、定借マンションの割合は依然として少数派(全体の約1%強)ながら、東京都と千葉県では増加傾向が見られました。
東京都では新築の定借マンションが1.5%、中古が0.5%。千葉県では新築が1.3%、中古が0.2%と、直近5年間で上昇しています。
一方で、埼玉県・神奈川県では大きな変化は見られず、地域によって供給状況にばらつきがあることが分かりました。


■ 定借中古マンション割合ランキングTOP10

2020年~2025年にかけて、一都三県の行政区別で定借マンションの割合が高かったエリアは以下の通りです。

1位:稲城市(シェア率4.2%)
 多摩ニュータウンの端に位置し、UR都市機構による事業用定期借地権マンションの供給が続いた影響でシェアが高い結果となりました。

2位:千代田区(3.2%)
 平均築年数が7年と浅く、近年増加傾向にあるエリア。超都心での用地確保の難しさや価格高騰への対策として、定借スキームが活用されていると考えられます。

3位:渋谷区(3.0%)
 興味深いことに、渋谷区では定借マンションの平均価格が所有権マンションよりも高い結果となりました。
 同様の傾向は新宿区・葉山町・綾瀬市でも見られ、「定借=割安」とは一概に言えない状況が浮き彫りとなっています。


■ まとめ

今回の調査から、定借マンションは都心部や再開発地域を中心に一定の存在感を強めつつあるものの、全体シェアとしてはまだ1%台と限られていることが明らかになりました。
また、「定借=安い」という単純な構図ではなく、立地・築年数・ブランドなどによっては、所有権マンションより高値となるケースも見受けられます。


定借マンションは、土地コストを抑えて都心立地に住みたい層にとって有力な選択肢である一方、契約期間や将来的な再取得リスクを十分理解する必要があります。
“安い”というイメージだけで判断せず、「ライフステージに合わせた居住戦略の一つ」として冷静に検討することが求められそうです。

LIFULL HOME’S総研 チーフアナリスト 中山登志朗(なかやまとしあき)氏による解説

定期借地権分譲マンションは約10%割安とされるが・・・地代や解体積立金が別途発生

日本で定期借地権分譲が開始されたのは1992年です。いわゆる“90年バブル”で地価が高騰した際に「借地借家法」の改正によって、土地の価格分を含めずに建物の価格だけで販売できる住宅を建築可能にしたのです。当初は土地の価格分が大きい戸建住宅で採用され、分譲マンションで採用され始めたのは1995年以降、供給が本格化し始めたのは2000年以降でした。以来、長きに渡る資産デフレ期もあり、首都圏では累計で200物件超、約1.7万戸とシェアは期待されたほど拡大してはいません。

一方、LIFULL HOME’Sに掲載されている定借マンションの流通状況を確認したところ、首都圏における新規供給は、9月末現在で既に2,084戸(LIFULL HOME’Sに掲載された戸数)と過去最大規模に達しており、定借マンションは物件価格の高騰によって、足元で急激に供給が拡大する状況にあります。中古においても、最も定借マンションの物件数が多い東京都でも0.5%の流通シェアに留まっており、周辺3県では0.5%に達しない状況ではあるものの、流通件数自体は2025年に昨年対比で136.3%と順調に拡大しています

定借マンションは、地主である土地の所有者が土地を売却することなく収益化できるというメリット、またマンションを供給するデベロッパーにも企業が利便性の高いエリアに所有する土地にマンション建設&分譲が可能になるというメリットがあり(それが駅徒歩所要時間の差に表れています)、さらに購入検討者にとっても土地共有分のコスト負担がないことから所有権分譲マンションと比較して10~20%程度安価に購入できるという点が魅力で、円安による資材価格の高騰や建設業・運輸業の人件費高騰、そして地価の上昇という“トリプルコストプッシュ”で住宅価格が上昇し続けるなかでは、定借マンションの認知が進むに連れて新規供給および中古流通もともに活性化していく可能性は高いといえます。

ただし、定借マンションは土地の借り上げ期限が迫ってくるに連れ市場価値を失い始め、また所有権分譲マンションにはない「地代」および「解体積立金」というランニングコストの負担も発生します(このコストは住宅ローン完済後も負担し続ける必要があります)。また、利便性や周辺環境の良好な立地に分譲されるケースが多く、価格自体は決して安価とは言えません。したがって、定借マンションの購入については、新築・中古の別を問わず、物件ごとに異なる定借期間やコストの配分をシミュレートし、所有権分譲マンションと比較して“経済合理性が高いか否か”を把握し判断する必要があります。

調査概要

  • 集計対象:LIFULL HOME’Sに掲載された中古マンション
  • 集計期間:2019年1月~2025年9月

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